※注 この記事はネタバレを含みます。
2020年2月14日、バレンタインデーに刊行された、竹宮ゆゆこ先生の『いいからしばらく黙ってろ!』を読みました!
竹宮ゆゆこ先生は『とらドラ!』でハマり、『ゴールデンタイム』も大好きで、以前刊行された長編小説も、すごく面白かったです。
今回は、『いいからしばらく黙ってろ!』の感想と見どころを書きたいと思います!
買ってからまず思ったのは、
「本が分厚い!!!」ということ。
459ページもある超大作です。竹宮ゆゆこ史上、最も厚い(熱い)小説なのではないでしょうか?
- 『応えろ生きてる星』
- 『おまえのすべてが燃え上がる』
- 『知らない映画のサントラを聴く』
などなど、過去に出た小説の2冊分以上の厚さ!紙の材質の違いこそありますが、とにかくすごく熱い小説でした。
さて、『砕け散るところを見せてあげる』の映画化も決まり、さらに名を轟かせているゆゆこ先生。今回の竹宮ゆゆこワールドは、どんな世界なのでしょうか。
以下、感想&見どころを紹介します!
あらすじ
婚約者も、就職先も、住む場所もなくなった彼女が出会ったのは、社会のはみ出し者が集う小さな劇団だった。
『いいからしばらく黙ってろ!』竹宮ゆゆこ
主人公の名前は
「龍岡富士(たつおかふじ)」
大学の卒業式の後、ゼミの飲み会。両親は大きな会社を経営しており、いわゆるお嬢様だった。
そんな富士は、ゼミの飲み会で友人だと思っていた人たちから、「あなたは運だけはいいよね」「家がお金持ちでよかったね」などという言葉を浴びせられる。
卒業したら両親の会社に入る。そして許婚と結婚する。実家に帰る……予定だった。
婚約は破棄になり、実家にも帰れなくなり、友達には嫌われていて……そんな劇的なシーンからスタートします。
ザ・竹宮ゆゆこ作品のヒロインって感じですね!超超超個性的!というかすごい状況!
そんな中トイレにこもっていた富士は、ある紙を手にする。
「バーバリアン・スキル」
今回のお話のテーマとなる、劇団の名前だった。
テーマは「演劇」
『いいからしばらく黙ってろ!』は、「演劇」をテーマにした作品です。
「バーバリアン・スキル(バリスキ)」という劇団の「見上げてごらん」という演劇を中心に話が進んでいきます。
「演劇」が全くわからなくても読める!
演劇は今までみたこともなくて、何一つ知識はないのですが、最後までその世界観に入って読み切ることができました!
今回は演劇がテーマですが、「演劇を知らないけど大丈夫?」という人でも、問題なく読むことができますよ!
>>【『とらドラ!』の感動をもう一度】味わいたいなら、これを読め!|『応えろ生きてる星』竹宮ゆゆこ
『しば黙』はラブコメではない!?
「竹宮ゆゆこといえばラブコメ!」
という印象ですが、
今回の作品はラブコメではなかったです。
「とらドラ!」「ゴールデンタイム」は恋愛がテーマだと思いますが、今回は富士の人生にスポットを当てています。
恋愛要素がないことはないですが、恋愛がメインで話が進んでいくという感じではなかったです。
個性的なキャラクターたち
この作品にはクセの強いキャラクターしかいない!!!
クセの強いキャラクターたちで繰り広げられるドタバタな感じが、すごく面白かったです!
とにかく劇団の中心人物の「南野」は強烈。ぜひ読んでみて欲しいです。
「アマプラ」「ネトフリ」などの【時事ネタ】
竹宮ゆゆこ作品ではお馴染みの「時事ネタ」
長編小説も結構読みましたが、刊行された年に合わせて、その時の時事ネタが折り込まれていて、面白いです。
今回では「アマプラ」「ネトフリ」などの、動画配信サービスや、「ウーバーイーツ」、Wi-Fiがどうのこうのなど、今話題になっている語句が入っています。
一番好きだったのは、
「ゴッゴッゴリランド!」というネタ。
これは時事ネタではないのですが、一時期CMで流れていたアレです。これがちょいちょい出てくるので、ところどころ笑ってしまいました。
とにかく走る、走る。
竹宮ゆゆこ作品の女の子は、とにかく走る走る!!!
作品を読んでいる人にはお馴染みの、女子の全力疾走。
ゆゆこ作品では必ず入ってるのでは?と思えるほどの全力疾走シーンが入っています。
タイトルの意味
完全にネタバレですが、この作品のタイトル、
『いいからしばらく黙ってろ!』とは何か。
タイトルの意味とは?
これはお話の最後に、富士が劇団のメンバーを黙らせるために言った一言。
なぜ劇団を黙らせる必要があったのか。
ンフ、気になりますね。
>>【まんじゅう怖いメソッド】を解説!|【とらドラ!】元ネタも含めて
おわりに
夢を追い続けることの大切さ
この作品は、潰れそうな劇団がテーマの作品でした。
誰しも現実をみて、できない、無理だと言って諦めてしまう……
そんな中で「なんとかやってやる!」という劇団メンバーの姿勢。
好きなことには、寝る時間を割いてでも没頭できる姿勢。
自分に欠けているな……というものに、気づかせてくれる作品でもありました。
彼らのその先はどうなるのだろう……
『見上げてごらん』の講演は成功するのか?
彼らはどうなってしまうのか?
それは、読んでみてのお楽しみです。
459ページの超大作。私は読むのがあまり速くないので、毎日少しずつ読み、何日もこの作品と触れ合ってきました。
そんな中で、残り50ページを切った時、すごく寂しい気持ちになりました。
大好きなキャラクターたちと、あと50ページでお別れなのか……と、それほど愛着が湧く作品でした。
特に大好きだったのは、脚本家の「蟹江くん」
彼のことがすごい好きだったなぁ。蟹江くんと話してみたいなぁ……。
大好きだったキャラクターたちはこの先どうなるのか。彼らはこの先どう過ごしていくのか。考えられずにはいられません。
今回も竹宮ゆゆこワールドを堪能しました!
ゆゆこ先生!
次回作も楽しみに待ってますね!!!