『竜とそばかすの姫』の感想と考察について。
※この記事はネタバレを含みます。
「これから映画を見たい!」という人は、ネタバレがめちゃくちゃ入ってるので、映画を見てから記事を読むことをオススメします。
どうも!なっつんです!
細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』を見てきました!
今回は『サマーウォーズ』と同じく、インターネット上の仮想世界が舞台になっています。サマーウォーズから10年以上たった今、よりインターネットが普及したこともあって、仮想世界もだいぶ現実味を帯びていました。
今回の記事は私の感想とちょっとだけ考察を書きたいと思います。解説というほどではないですが、個人的に思ったことや、「こういうことかも!」というのが書ければいいなと。
すごくいい映画だったので、その思い出を書き残したい!というのもあって、記事を書きたいと思います!
映画のあらすじや詳細、あとは…
- メインテーマの作詞作曲がKing Gnuだとか…
- YOASOBIの幾田りら(ikura)が出てるとか…
- ベルのキャラデザが『アナ雪』の人だとか…
などなどありますが、ぶっちゃけ公式サイトとかWikipediaとかの方が詳しく書いてあるので、この記事では割愛します!
それではいってみよう!
細田守×『美女と野獣』
まず、「これ『美女と野獣』じゃね?」と思った人はいないでしょうか。
「ディズニーのパクリじゃん!」ということではなくて、『美女と野獣』自体が、1740年に書かれたフランスのお話で、異類婚姻譚(いるいこんいんたん)と言われているものです。
異類婚姻譚というのは簡単に言うと、「人間と人間以外が結婚するお話」という感じです。
そしてこの『美女と野獣』に出てくる娘の名前が「ラ・ベル」。フランス語で「美女」という意味ということまで、『竜とそばかすの姫』と同じなんです。
だから、ディズニーも『竜とそばかすの姫』も、この『美女と野獣』が元になっているということですね。
そして『竜とそばかすの姫』の主人公の名前は内藤鈴(ないとうすず)。
「鈴=ベル」ということで、そこまで練られた作品なんですね。
“正義”とは何か?
ここからは感想になりますが、まずは“正義”とは何か?について。
この作品はSNSが普及した現代に対するメッセージがすごかったなと、個人的に思っています。
今回の「U」という仮想世界では、悪を取締る正義の見方、自警集団「ジャスティス」という組織が出てきます。そのリーダーであるジャスティンを演じるのは森川智之さん。森川さんが演じると説得力半端ないですね。
竜vsジャスティス
『竜とそばかすの姫』では、悪役として扱われる、佐藤健さん演じる「竜」。
「U」の中で大人気歌手となったベルのライブにいきなり乱入し、ジャスティスとバトルを始めます。
もちろんベルのファンからは大ブーイング。
竜とジャスティスのメンバーが戦うのですが、竜は相手のデータが復元不可能になるまでボコボコにするということから、戦い方としても「U」のユーザーから叩かれています。
それに対してジャスティスのリーダーであるジャスティンは、すごい数のスポンサーがついています。
この絵面だけ見るとどう考えても
- 正義 → ジャスティン
- 悪 → 竜
ということが確定。
しかし、竜は自分の家族のために、強いところを見せ元気付けるというために戦っているのです。
一方ジャスティンは地位や名声、相手を従わせるために戦っていたり、「U」のユーザーが見ていないところで竜をボコボコにしたり、ヒロインであるベルに手を出すというシーンがあります。
噂や評判、ネットでの書き込みなどで書かれていることと、実際の正義と悪というのは違うというメッセージが込められているかなと思っています。
実際、日々過ごしていて、クラスの友達に根も葉もない噂を流されて友達に嫌われたり、みんなが正しいといっていれば、きっと正しいはずだと、物事の本質が見えなくなる時もある。
そんな中で、傷ついている竜に寄り添ったベルは、周りが「あいつは悪いやつだ!」と言っている中で、自分の意見を貫いたカッコよさがあるなと思いました。
父親が鈴(ベル)を殴れなかった理由
映画のラストで、主人公である鈴が、虐待にあっている子どもたちのところに駆けつけ、父親に見つかるというシーンがありました。
そのシーンで、虐待をしていた父親が「この子娘が!!」と言って鈴を殴ろうとしましたが、鈴のあまりの目力で殴れなかったというところ。
これは私の推測でしかありませんが、ジャスティンと虐待をしていた父親は同一人物かなと思っています。
ジャスティンがベルを脅し「竜の居場所を教えろ!」と脅迫するシーンがあったのですが、そこでジャスティンは拳を振り上げ、「言わなければお前をアンベイルするぞ!」と脅します。アンベイルとは、アバターの姿ではなく、実物の姿を晒させるということ。
そのシーンでもベルは、断じて竜の居場所を言いません。この状況を父親は思い出し、ベルの力強さに負け、殴ることができなかったのではないかなと思っています。
鈴の目の下の赤い傷
鈴は虐待をしていた父親にひっかかれ、顔に傷を負って出血します。
それが目の下に赤いクマのようになるのですが、その見た目がベルの見た目とそっくりになっている気がしました。
ベルの目力と、そばかす、そして目の下の赤い色…。
それらが全て重なって、殴ることができなかったのかなと、そんな気がしました。(うまく言葉にできずすみません)
母の気持ちを理解した瞬間
個人的にすごく好きだったシーンが、
鈴が「自分を犠牲にしてでも子供を助けた母の気持ち」を理解した瞬間です。
鈴は小さい時に母を失ってしまうのですが、鈴の母は、川で取り残されていた他人の子供を助けたことで、自分を犠牲にしてしまいました。
それを見た周りの人達は
「自分の子供よりも他人の子供のために犠牲になるなんて…」
と、鈴の母を揶揄しました。
そのことを鈴はずっと気にしており、「他人の子供の命を助けて、実の子供(鈴)を見捨てるなんて…」
という気持ちを持っていました。
確かにそうですよね。他人の子供の命は助かったけれど、鈴は母を失ってしまい、自分だけこの世界に取り残されてしまったわけなので、すごく辛かったと思います。
アンベイルされても、竜を助けたい
劇中で「竜を助けるためには、ベルの姿ではなく、鈴として『U』の世界で歌うしかない」という状況になってしまいます。
なぜかというと、鈴はアバターである「竜」の中の人である少年に会うのですが、「アンタがベルだなんて信じられない」と、ベルの姿ではない鈴を疑って信じてくれなかったからです。
そこで鈴は、かなり葛藤します。
友達であるヒロちゃんにも「今まで積み上げてきたものが、全て失われてもいいの!?」と止められます。
ベルは「U」の中では大スター。見た目もすごく美人。
そんなベルの中の人が、普通の高校生だなんて知られたら、今まで積み上げてきたベルの人気は、一気になくなってしまうでしょう。
しかし、鈴は自分からアンベイルされて、鈴自身の見た目で歌を歌うことを決意します。
そして自分の大事にしている「ベル」という「As」を失ってでも、竜を助けるために歌いたいと思ったわけです。
そして歌っている途中に、母のことを思い出します。
「自分を犠牲にしてでも、他人を助けたい」
という母の気持ちを、鈴は理解したのです。
このシーンが、本当によかったです。
ベルは人気を失わなかった
これもまたすごく好きなシーンで、「ベルの中身は普通の高校生」ということがみんなにバレても、ベルは人気を失わなかったのです。
それどころか、鈴の歌に感動し、「U」にいる人たちは全員が心を動かされます。
このシーンが、本当に本当によかった。すごく感動しました。
おわりに
いかがだったでしょうか。
個人的にはすごく思うことが多かった作品で、今までの細田守監督の作品と、また違った作品で、本当にすごく感動しました。
『サマーウォーズ』のように、悪を成敗する
ということだけがゴールじゃなくてもいいんだな。と、とても感動させてくれた作品でした。
次回作も期待したいと思います!
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!